7月25日(金)、東京外大にて、ピエール・ルジャンドルをめぐる研究会が開催されます。
ふるってご参加ください。

科研費助成研究(基盤B)「戦争・経済・メディアからみるグローバル世界秩序の総合的研究」
特別セミナー


ルジャンドルをどう生かすか?


 ピエール・ルジャンドルの西洋的規範空間に関する独特の仕事は、世界のグローバル化をとおして起こっている諸問題・諸現象を批判的に理解するうえできわめて重要なものだと思われます。ところが、法制史と精神分析を結びつける彼の仕事は一見取りつきにくく、その真価が十分に理解されません。けれども、ドグマ人類学という、これまたきわめてなじみがたい名を掲げた彼のアプローチは、これまで哲学や社会諸学が顧みずにきた局面から、人間と社会との成立ちを再考させてくれる、きわめて刺激的なものです。このルジャンドルの仕事の理解を進め、それを現在の人間と社会が当面する諸問題の解明にいかに生かしうるかを実践的に研究する機会を設ける、というのがこの特別セミナーの趣旨です。
 今回はオルレアン大学法学部教授で、現在、京都大学人文科学研究所外国人研究員のミカイル・クシファラスさんと、相愛大学専任講師でルジャンドルの共訳者の一人である政治史・法制史の嘉戸一将さんに報告をお願いしました。クシファラスさんは、ルジャンドルとカストリアデスに制度性に関する思考の照応を見出し、そこにローマとギリシアという西洋を構成する二つの伝統を重ねて、現在の世界構成のなかで両者の意義を再考し、嘉戸さんは、ルジャンドルの国家と法に関する理論を参照しながら、近代日本国家の「制定」を「定礎する準拠」を軸に新たに読み解く試みを報告してくれます。ともにきわめて啓発的な内容です。
 なお、クシファラスさんは日本語は堪能ですが、報告はフランス語で行ないます。必要に応じて翻訳する予定です。


日時:2008年7月25日(金) 16 :00−19 :00
場所:東京外国語大学 研究講義棟401-3 教室


報告I
Mikhail Xifaras : Rome, Athènes, le Monde ― quelques remarques sur Pierre Legendre et Cornelius Castoriadis


報告II
嘉戸一将明治憲法と〈定礎〉のための〈準拠〉


司会:西谷 修


【報告者紹介】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


Mikhail Xifaras, 法哲学、政治哲学、所有権論、他。 著書:Eprouver l’Universel, essai de Géophilosophie, avec Kenta Ohji, Paris, Kimé, 1999; La propriété, etude de philosophie du droit, Paris, PUF, 2004 ; (direction)Généalogie des savoirs juridiques, le carrefour des Lumiéres, Bruxelle, Bruylant, 2007.


嘉戸一将、法制史、法思想・政治思想、他
著書:西田幾多郎と国家への問い(以文社、2007年)、
共訳書:P.ルジャンドル『ドグマ人類学総説――西洋のドグマ的諸問題――』(平凡社、2003年)
正統性と<理性>――井上毅と法・行政の礎――『日本文化環境論講座紀要』第3、4号、2001,2年、他