kazumichi_h2007-04-01


上海博物館は、印章ばかりを集めた展示室がとりわけ興味深かった。
別に拇印や指紋の展示があったわけではないけれど、指紋研究的にも
なかなか示唆的であった。
指紋はfinger printつまり「プリント」なわけで、あくまで捺されてからが
「指紋」であり、捺された時点で、捺印前の指の紋様とはまったく性質を
異にするものとなるのだと思う。
その性質は印章の歴史と切り離せないものであろう。
西洋において印章の役割を果たすのはもちろん「サイン」なわけだが、
ベアトリス・フレンケルの書物は、この「サイン」の歴史を、その象徴的側面、
つまりサインが書かれた瞬間に単なる紙切れが「真なるもの」というステイタスを獲得する
ということの意味にまで目を配った好著である(ルジャンドルが引用されたりもする)。
Beatrice Fraenkel, La signature. Genese d'un signe, Paris, Gallimard, 1992.
http://www.amazon.fr/signature-B%C3%A9atrice-Fraenkel/dp/2070724700/

印章について同様の研究はないだろうか。
とりあえず以下を注文してみる。