しばらく前に注文した『オルラックの手』の原作と映画化3本のうち、最後まで届かなかった最初の映画化作品、ロベルト・ヴィーネ監督による1925年の"Orlacs Hände"(邦題『芸術と手術』)のビデオが、ついに届いた。


これで原作と映画3本、計四点のオルラック・コレクションを完成させてしまったことになる。
などと自慢しても誰もうらやましくはないだろうが。


さっそく再生してみると、無声映画に現代音楽風のジャズ生演奏がかぶせられていたのは、まあ予想の範囲内だとしても、もともとのドイツ語カルトンに付け加えられた字幕がスペイン語だったのには度肝を抜かれた。


映像も一部痛みが激しく、さすがにこんなものを売りつけるのは後ろめたくなったのか、購入したアメリカのビデオ販売サイトのカタログからは、いつの間にかこの作品の名前が消えていた。


原作に割と忠実だったので、話の内容はだいたい理解できた。3作品のうちで一番原作に忠実なのはこれだった。『カリガリ博士』のヴィーネらしい舞台装置もチラホラ見られる。


原作では主人公の父親が心霊主義にいかれていて、物語上も重要な要素になっているのだが、映画ではいずれもこの要素がカットされている。心霊主義は映画とはあまり親和性がないのだろうか。