L'harmattan社は大半の刊行物を、e-bookとして書店よりも安い価格でダウンロード販売しているが、それを初めて利用してみた。意外とすんなりダウンロードできた。
実際に読むには紙媒体のほうがもちろん読みやすいが、L'harmattanの本は流通がしっかりしていなくて注文してもなかなか届かなかったりするし、海外からこうしてすぐに手に入れられるのはなかなか便利かもしれない。


購入したのは以下の書物。
Jean Lhermitte, L'image de notre corps[1939], Paris, L'harmattan, 1998.


メルロ=ポンティが『知覚の現象学』で、「幻影肢」の議論をするときに依拠していたのがこの書物である。初版は1939年に出ている。


「幻影肢 phantom limb」とは、事故などで手足を切断された人が、ないはずの手足の存在を感じるという、よく知られた現象。古くは16世紀にアンブロワーズ・パレが似たような現象について言及しているそうだが、近代医学の問題として最初に取り上げたのは、1870年代になってからのミッチェルSilas Weir Mitchellの仕事が最初とされる。
初期の神経学者として名高いミッチェルは、小説家としても知られ、幻影肢についても、医学論文として発表する前にノンフィクション風の短編(The case of George Dedlow, 1866)として公表したりしている。
Silas Weir Mitchell, The case of George Dedlow
http://etext.lib.virginia.edu/toc/modeng/public/MitAuto.html