kazumichi_h2007-12-07

Christophe Naudin, Alias. Du terrorisme international aux fraudes massives, le nouvel empire des crimes d'identité, Paris, La table ronde, 2005.


近年の身元詐称事件の具体的な事例が多数紹介されていて、なかなか使える本だと思っていたら、日本の名前の仕組みに関して意味不明の記述が。

原則として、両親は最初の二文字を選び、それが子供の最終的な名前(nom définitif)になる。神主が補足的な名前(complément nominatif)を指定する。(p.143)

例として「犬飼泰徳」という名前が手書きの漢字で挙げられ、一文字ずつご丁寧に漢字の意味が示され(chien, garde, sérénité, vertueux)、その下にはアルファベットで「Inukaï Yasnori Taï」という表記が。「Inukaï Yasnori」が"nom définitif"で、「Taï」が「神主の指定する補足的な名前」であると言いたいようなのだが。。。


ともかく名前のシステムというのは各国でまちまちだからアイデンティティの指標にはならないということが言いたいようで、そこから、「アイデンティティとは何よりもまず生体認証的(biométrique)なものである」(p. 174)という、短絡的かつ豪快な断言に行き着いている。