北海道大学大学院文学研究科 映像・表現文化論講座編『層 映像と表現』vol.2, ゆまに書房、2008.


井上貴翔さんよりご恵贈賜りました。
井上さんによる以下の論文を収録。
「“指紋”と“血”――甲賀三郎「亡霊の指紋」を端緒に」


甲賀三郎の「亡霊の指紋」(1930)という、雑誌『キング』に連載された、単行本には(おそらく)未収録*1の小説を手掛かりとして、日本における身元確認以外の指紋の利用法の研究の歴史が丹念に跡付けられています。
甲賀三郎の小説も読んでみましたが、指紋による親子関係の鑑定が作品のモチーフになった、特異な一作でした。
しかしタイトルから心霊主義の幽霊指紋を連想してしまいましたが、あまり関係なかったのが残念と言えば残念。「異様に巨大な指紋」というのが「亡霊の指紋」の正体です。
『層』の他の内容については以下の版元のページのPDFファイルをご覧ください。
http://www.yumani.co.jp/catalog/sou2.pdf
[rakuten:book:13036949:detail]


ところで『Photographers' gallery press』no. 7が、いつの間にかアマゾンでも購入できるようになっておりました。こちらに掲載の拙文でとりあげたのは、小酒井不木による大正14(1925)年の短編「指紋研究家」。

photographers'gallery press no.7

photographers'gallery press no.7

*1:実物を見ていませんが、春陽堂刊『明治大正文学全集』の第五十六巻に収録されているようです。