BNの複写サービスで、ジョルジュ・ベルティヨンの、『衣服による身体測定的人相書きの再構築』を購入。
Georges Bertillon, De la reconstitution du signalement anthropométrique au moyen des vêtements, Étude médico-légale des relations de forme et de dimension entre les principales longueurs osseuses et les pièces d’habillement (chapeau, souliers, etc.), Lyon, Storck, Paris, Masson, 1892.


ジョルジュ・ベルティヨンは、アルフォンス・ベルティヨンの弟である。
ベルティヨンの司法的身体測定法は、指紋と比べると、犯罪現場には残らないという
欠点があった。
そこでジョルジュは、兄を援護射撃しようとしてかどうかは知らないが、
犯罪現場に犯人が残した衣服から、その犯人の寸法などを再構成する方法を
考案し、医学博士論文として提出するのである。その成果が本書。


犯罪者が服や靴を脱ぎ捨てるという場面のほか、刑務所から脱獄者が出た場合、
まず最初にやることは服を変えることだから、近隣の衣料店に行って、
「これこれこういうサイズの服を買った人間はいないか」と聞けば、
手がかりが得られる、などということが主張されている。
わざわざ店に行くなら、人相を聞いたほうが早いではないか、という
ツッコミを入れるのがはばかられるくらい、極めて真剣な議論である。


服の問題というのはいろいろと面白い。
モルグにおいて衣服が身元確認の重要な手がかりであったことは
言うまでもないが、心霊主義においては、霊媒に呼び出されて
「物質化」した心霊が、なぜ服を着ているのか、ということが
議論になっていたらしい。
心霊が不死なのは百歩譲って認めるとしても、服も不死なのか、
服にも魂があるのか、あるいは「霊界」に仕立て屋があるとでもいうのか、
などと議論されていたようだ。
その議論の一端は以下にも紹介されている。

幽霊を捕まえようとした科学者たち

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